2020年3月16日月曜日

兵庫医科大学病院におけるデュピクセントの治療成績を欧文誌に発表しました

難治性のアトピー性皮膚炎に限り、当院ではデュピクセント(注射)を用いた治療を行っています。松谷医師と井上助教が、発売後最初の1年間の患者さんの治療成績データを集計致しまして、その統計データは、このたび国際雑誌に掲載されました。

詳細はこちらをご覧下さい(Real-world use of dupilumab for 53 patients with atopic dermatitis in Japan:英文)。

具体的にまとめると、保険適応の標準的な治療で、16週の投与で皮膚炎が73.6%減弱していました。さらによく解析すると、おおむね10%の患者さんが残念ながら「デュピクセント無効」であり、有効であった患者さんは80%程度皮疹が減弱していました。副作用としては結膜炎が多く発生してしまいました。

現在では約100例の患者さんにデュピクセントを投与しており、医師や注射指導を行う看護師もこの治療薬に慣れてきた感じがしております。

(文責:今井)

(新規)医局秘書募集について


兵庫医科大学 皮膚科学

医局秘書(アルバイト職員)募集要項

1 名

2020年4月以降(応相談)

場 所 兵庫医科大学 皮膚科学

内 容 兵庫医科大学 皮膚科学における事務業務 (電話・来客対応、書類作成・データ入力(メール、Word、Excel、手書き)、スケジュール管理等)

期 間 初回のみ採用日から3ヶ月間 ※以降採用日から5年を限度に年度毎の更新予定あり

日数  週 3 日 程度(応談)

時 間 (平日) 9時00分~17時00分(休憩60分) (第1・3土曜日) 9時00分~12時00分(休憩なし)

暇年次有給休暇、慶弔等特別休暇

与時間給 900円
※ 通勤手当等は本学規程に基づき別途支給

保 険 日本私立学校振興・共済事業団(健康保険、年金)、雇用保険、労災保険
※扶養の範囲内を想定する方も歓迎
※新卒可

パソコン基本操作(word,excel等)のできる方 ※業務手順は所属で指導します。
履歴書 (写真貼付・「皮膚科学 医局秘書(ア)希望」と明記すること) ※提出書類は返却しません。

上記提出書類を2020年4月1日〔必着〕までに郵送ください。

<履歴書送付先・問い合わせ先>

〒663-8501 兵庫県西宮市武庫川町1-1 兵庫医大皮膚科 秘書




送付していただいた履歴書は兵庫医大人事部の方針により、返却できません。






2020年3月12日木曜日

新型コロナウイルス(COVID-19)と乾癬の生物学的製剤(バイオ製剤)について



乾癬患者さんで、免疫抑制剤または乾癬の生物学的製剤(バイオ製剤)を投与中に、もし新型コロナウイルス(COVID-19)に罹患した場合は、中止か延期です。

International Psoriasis Council(IPC)の声明
(英語:https://www.psoriasiscouncil.org/blog/Statement-on-COVID-19-and-Psoriasis.htm
によると、乾癬で生物学的製剤を投与中の患者さんが新型コロナウイルス(COVID-19)に罹患した場合は、生物学的製剤を中止または延期が推奨されています。この内容は、日本リウマチ学会の声明とほぼ同じ内容です。要はインフルエンザ罹患時と同様に、重篤な感染症に罹患した場合は生物学的製剤を中止または延期するということになります。

ただ全例予防的に治療中断せよという話にはなっておりません。それは、今のところは、これら免疫抑制薬の使用が感染リスクを上昇させるとは報告されていないからです・・・ただし、新型コロナウイルス(COVID-19)の重症化のリスクが上昇する疾患に、糖尿病、高血圧、心疾患、脳血管疾患が報告されております(エビデンスとなる論文はこちら)ので、症例によるということになります。


なお、アトピー性皮膚炎の生物学的製剤(デュピクセント)は、データはないものの、新型コロナウイルス(COVID-19)に作用機序としては悪影響は無さそうということになっているようです。

2020年3月4日水曜日

乾癬(かんせん)は疥癬(かいせん)ではありません。

コロナウイルスだけでなく、疥癬(かいせん)も西宮で猛威を振るっております。
疥癬(かいせん)は、ヒゼンダニという虫による感染症で、同居者などに容易に感染します。

一方、慢性の皮膚炎が生じる乾癬(かんせん)は、絶対に感染しません。

ところが病名が似ているせいか、乾癬(かんせん)外来に間違って疥癬(かいせん)が受診することが、最近多くなり、困っております。間違って乾癬外来の日に疥癬患者さんが来院された場合、近所の皮膚科を紹介するだけということになりますので、申し訳ないですが、ご了承くださいますようお願い申し上げます。

現在、当院皮膚科の待ち時間が非常に長くなっており、大学病院でないと対処できない重症の患者さんを中心に診察させていただいており、病診連携を取らせていただいております。疥癬は、ごく一般的な皮膚病であり、大学病院でないと対処できない疾患ではありませんので、内科の先生はお近くの皮膚科クリニックの受診を指示していただければ幸いです。

また、兵庫医大受診中であるなど、どうしても兵庫医科大学皮膚科を希望される患者さんは、火曜日の夏秋先生の外来受診になります。

よろしくお願い申し上げます。

2020年2月10日月曜日

新しい帯状疱疹ワクチン「シングリックス」

バイオ製剤投与中の方でも投与可能な、新しい帯状疱疹ワクチンである「シングリックス」ですが、当院から徒歩1分の「えいご皮膚科西宮武庫川院」で投与しております。保険は効きませんので、自費になります(受診後仕入れますので、すぐには打てません)在庫は置いておらず、予約されてから注文、入荷、接種の流れになります。全国的に品薄状態ですので時間がかかります。詳しくは、「えいご皮膚科西宮武庫川院」におたずねください。

なお、シングリックスは年齢が50歳以上の帯状疱疹の予防に用いるものであり、水痘の予防接種に用いるものでありません。

2020年2月7日金曜日

えいご皮膚科西宮武庫川院 休診のお知らせ

患者様にお知らせです。
えいご皮膚科西宮武庫川院ですが、下記は休診します。

2/19 水曜
2/20 木曜
3/17 火曜

緊急時は、羽田皮膚科(笠屋町)または兵庫医科大学皮膚科など、近医皮膚科の受診をお願い申し上げます。

2020年1月28日火曜日

乾癬のバイオ製剤投与中に帯状疱疹生ワクチンは禁忌なのか?

「生」ワクチンなら、そうです。基本的に、乾癬のバイオ製剤を使っていると、生ワクチンの投与を避けるルールになっています。しかし、これに反対する内容の面白い発表が出ています。

こちらのプレスリリース( Live Zoster Vaccine Safe and Effective for People Taking TNF Inhibitors)をご覧下さい。

昨年11月のAmerican College of Rheumatology年次総会でにおける米国での学会発表です。ヒュミラどのTNF阻害剤(バイオ製剤)を使っている患者さんを617人(このうち乾癬は25%くらい)リクルートしてききて、本当は感染する危険性があるので打ってはいけないはずの帯状疱疹生ワクチン(米国仕様)の投与をやってしまいました。これによって、生ワクチンによる水痘の発症が危惧される6週間の間に、水痘が出てしまった症例は無かったということになっています。

ただ、この報告は治験になっていませんし、簡単に信じれませんが、日本でこのようなことが許可されるには、日本で治験をしないといけません・・・そして、当面はされることは無いでしょう(製薬会社複数で組んでやって欲しい気はする)。
あと、そもそも結核の生ワクチンでは結核発症例も報告されているので、上記の結果を鵜呑みにはできません。

しかし、このようなことからも、より安全なワクチン開発というのは、免疫抑制剤が広く使われるようになった時代が求めている内容ですし、必要に応じて、乾癬のバイオ製剤投与前に先に風疹や帯状疱疹のワクチンを投与しておくことも状況によっては必要となりそうです。

そして生ワクチンではない、より安全な帯状疱疹ワクチンがシングリックスですが、これは、自費になります。えいご皮膚科西宮武庫川院で対応しております。




2020年1月15日水曜日

デュピクセントは、投与終了するとどうなるのか?

値段が高すぎるという問題があるデュピクセントですが、当院ではデュピクセント導入の患者さんは90人を超え、医師の方もかなりデュピクセントを使い慣れてきました。

さて、アトピー性皮膚炎のバイオ製剤であるデュピクセントの投与を終了するとどうなるのか?結論から言うと16週で終了してしまうと、やや悪化してしまう模様です。
やっと噂話ではなく論文として、JAMAに掲載された原文はこちら。
https://jamanetwork.com/journals/jamadermatology/fullarticle/2757721
 
ただし、これは例によって日本人のデータに乏しい国際共同治験で、日本の保険適用とは状況が違うのでまったく直接比較はできませんが、この図をちらっと見ると、デュピクセントを16週投与し、良く効いているので終了した場合、デュピクセント終了後から36週後(最初の投与から1年後)には、1年間デュピクセントを継続したグループに比べて20〜25%皮疹が悪化(再燃)する、という感じのようです。

要するに、デュピクセントの投与を止めてしまったら、アトピー性皮膚炎が投与前のひどい状態に完全に戻るわけじゃなくて、ちょっと悪化する程度ですむ、というデータが出てきたわけです。もちろん個人差があります。デュピクセント中止後も、ステロイド外用剤を使用せずにすんだ患者さんは50%。ざっくり言うと、半分の患者さんは1年間ステロイド外用剤を使用せずに過ごせたわけで、ほぼ寛解ということでしょうか。

ちなみに、日本の保険適用では、デュピクセントを4ヶ月使用して効果がちゃんとあることを確認し(運悪く効かない場合はここで終了)、効果が確認できた場合は、さらに6ヶ月継続して、ずっと皮膚炎が良い状態をキープできた場合は中止等を検討する、という申し合わせになっているようです(都道府県によって見解に差あり)。

日本人の実臨床でもこのような結果になるかどうかは不明ですが、アトピー性皮膚炎は、どんな治療方法を用いたとしても(強いステロイドを大量に外用でも良いわけです)、とにかく一度良い状態が達成できさえすれば、再発せずに長期寛解することが多い(アウトグローする)疾患です。したがって、デュピクセントはうまくいけば一時中止を検討できるバイオ製剤であるという観点からも、従来の方法で寛解しなかった重症アトピー性皮膚炎にデュピクセントを導入してみることは価値が高そうです。